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「帰ってきたって事だろ?」
「それがただ帰ってきたわけじゃない。そこで出てくるのがさっき言った何でも屋。一昨日だったかな?多分そう、一昨日の夕方、いつの間にか玄関に立ってて、ミーアが急に腕の中にいるもんだからびっくりして隣にいた母親に聞いたんだって。そしたら、何言ってるの?今何でも屋さんが来たじゃないって!」
やたらと高い声は母親のつもりなのだろう。
電車に乗り込み、スマートフォンを取り出すとそれを奪われ、ずい、と顔を近づけてきた。
「信じてないだろ!」
「そりゃあ…」
逆に今の今まで信じていると思っていたのか。言いかけた言葉を読み込む。
「母親は百合ちゃん本人が依頼したって言ってきたって!探し疲れて公園で座り込んでたら優しい何でも屋さんが猫探し無料で引き受けてくれたって!でも記憶にない!おかしいだろ!?」
嫌な予感がする。
ただの世間話だとおもって聞いていた高瀬は雲行きが怪しくなってことに気づいた。最寄り駅は違うはずの門真が同じ駅で降り、いつまでも着いてくる。
先ほどの母親の台詞がほとんどオチだと思っていたのに、終わる気配を微塵も感じさせないどころかまだ広げようとしている。となると、門真には何か目的ある。
ちょっと待ってくれ、と言い残し自販機でお茶を二本購入した門真が、高瀬に一本を手渡し、両手を合わせて頭を下げた。
「そこで、なんだけどさ…」
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