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いかにも柄の悪そうな、金髪頭が立っていた。
「俺は3組の井田だ。この辺りの学校で、俺を知らない奴はいねえ。お前、挨拶がまだだよな」と僕をいきなり突き飛ばした。
「ちょっと井田君、やめてよ。まだ尾ノ上君は初日なのよ」と三崎さんが僕をかばってくれた。
「お前は黙ってろ!おい、尾ノ上とか言ったな。放課後、体育館裏に来い。逃げるんじゃねえぞ!」
井田はそう言って、食堂を出て言った。
「大丈夫?尾ノ上君」と三崎さんも心配顔だ。
尻餅をついていた僕は「大丈夫だよ。かばってくれてありがとう」とズボンを叩きながら起き上がった。周りからは「あいつ可哀想に」「目をつけられちゃあなあ…」などと、ぼそぼそ聞こえる。
「相手にしちゃ駄目よ。行けば怪我どころじゃ済まないんだからね」三崎さんはそう気遣ってくれた。
こう言うのって、何処の学校でもあるんだよな。
関わらないのが1番さ。そう、関わらないのが。
放課後のチャイムが鳴り、教室は息を吹き返したようにワイワイ、ガヤガヤとはしゃいでいる。
クラブ活動にゲームセンターと、皆んなは好きな時間を謳歌する。でも僕には、特技もなければ趣味と呼べるものも無い。
「私テニス部なの。尾ノ上は何かやるの?」三崎さんが聞いてきた。「いや、特に何も」と、もごもごしていると「おいお前、迎えに来てやったぞ」
坊主頭に眉毛の無い奴が、教室の扉にもたれ掛かっていた。「え?僕?」と自分を指差した。
「え?じゃねえよ!井田さんに言われただろ。帰ろうとしてんじゃねえぞ!」
三崎さんは何か言おうとしていたが、黙り込んでしまった。僕は毛なし男に連れられて、体育館裏に引っ張られて行っのだった。
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