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2. ジルが来た!
すると毛なし男のパンチは、僕の目の前で止まっていた。「な、何だよこいつ」僕の手が、そいつのパンチを掴んでいた。
「やわだねえ、本当」そう言って僕は、それを跳ね除けると毛なし男は尻餅をついた。
僕は眼鏡を外して、胸のポケットに差し込んだ。
「て、てめえふざけやがって!」パーマ男が飛び出して来た。僕はニヤリと笑いながら「後悔するぜ」
とブレザーの袖を脱いだ。
敦子は着替えが終わるなり「ごめん!先に帰るね」と部室を飛び出した。尾ノ上君大丈夫かな?
止める事が出来なかった自分を、後悔するかの様に
体育館裏に向かった。
「ええっ?どうなってんの?」
井田ら4人は、大の字になって倒れていた。
隼人は帰る途中で、河川敷に座り込んでいた。
「また出て来たのか?頼むから勝手に出て来ないでくれよ」僕は独り言の様に言った。
そう、僕の頭の中にはもう1人の人格、ジルが棲んでいるのだ。あいつは野蛮で、喧嘩がめっぽう強い。いつから現れたのか、記憶にないのだが、そのお陰で友達も作れない。
僕がジルになっている時の記憶は僕には無いのだが、あいつは今でも僕の事を、見ていて知っているのだ。そんなの不公平だよ。
これは誰にも知られてはいけない秘密なのだ。
ああ、明日学校に行くのが怖いよ。そして、とぼとぼと家路にむかったのだった。
翌朝、教室に入るなり三崎さんが「尾ノ上君!昨日は大丈夫だった?」とすかさず聞いて来た。
「まあ、何とかね」僕は言葉を濁しながら席に着いた。「私、部活の後に体育館に行ったんだよ。そしたら尾ノ上君、もういなくて。井田君達に、誰にも言うなって口止めされちゃった」
三崎さん、心配してくれてたんだ。僕は少し嬉しかった。そして昼休み、あいつが教室に現れた。
「おい尾ノ上。ちょっと来てくれ」毛なし男が呼びに来た。仕返しに来たのか?
ジルの後始末は、いつも僕なんだよな。覚悟を決めて、後について行った。
そこはバトミントン部の部室だった。そしてそこには、あの3人がまたまた待ち構えていたのだ。
しかし、何でバトミントン?
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