2. ジルが来た!

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「もしかして、皆んなバトミントン部だったりして?」僕が聞くと「んな訳ねえだろ!少し借りただけだ」と井田が言い返した。 ですよね。どう見ても格闘技タイプだよね。 そして突然、井田に両肩を掴まれた。僕はもう駄目だ、と目をつむった。すると井田は「すまなかった。生まれてこのかた、俺がやられたのはお前で2人目だ」え?何と意外な言葉が飛び出した。 「俺にも顔がある。この事は、俺達の中だけの秘密にしてくれ。その代わり、お前には2度と手を出さねえ。それに困った事があったら、何でも言ってくれ」なんだか、あらぬ展開になって来た。 「え?許してくれるの?」僕はキョトンとして皆んなを見回した。 「俺は矢沢だ。強いくせに謙虚なやつだな」とリーゼント頭が笑った。 「俺は北島。見た目に騙されたぜ。何処にあんな力があるんだ?」とパーマ男がじろじろ見てくる。 そして、最後に毛なし男が「俺は斉藤って言うんだ。井田さんのあんな姿、初めて見たよ」と僕と井田を交互に見ていた。 何かこうしてみると、案外いい人達に見えてきた。 本来は悪い人なんていないのかもな。まあジルは別にして。「この学校は坊ちゃん、お嬢ちゃんの集まりだ。それにこの地区には、不良高校が2校あって、何処も自分の傘下に取り込もうと躍起になってる。 俺も目を光らせてはいるが、お前も気をつけろよ」 井田は、そう忠告してくれた。
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