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「赤字になったのは、受信料収入が減ったからです」会長の質問に経理局長が返事をする。
「どうしてだ? テレビを買う時は、絶対に払うように決まってたんじゃないのか?」
「モニタをネットに繋げば動画が見られますから、新しくテレビを買う人がいないんです」
「パソコンやネット端末でも〝受信料〟を取れるように国会で決めさせればいいだろう」
「もう国会で、某国営放送に味方する議員なんていませんよ」
「受信料も補助もないのに、どうやって放送を続ければいいんだ!」
「とりあえず、会長の報酬を9割カットですかね」
「何を言うんだ。いやだぞ。オレに責任ないぞ。偉いんだから、沢山もらってもいいんだ!」
「……」
「お、おい。編成局長。なにかみんなが見たくなるような番組の企画はないのか?」
「そうですねぇ? この会議を放送すれば受けるかもしれませんよ」
「ふざけるな。こんな会議なんて面白くないだろ」
「いえ、暴露系ニュースでも、ドラマでも、コメディーでも使えますよ」
「編成局長。解雇する」
「……」
「他にないか? おっ、技術局長なんかあるのか?」
「あっ、はい。先日発表された論文ですが、眠っている人間に特定の周波数の電波で、画像、音声、動画などを〝夢〟として受信させる事ができるそうです」
「それはすごいな。でも〝夢〟じゃなくて、テレビ番組を見せたいんだが」
「ですが、テレビがないのを理由にして受信料を払ってくれない家がたくさんあるじゃないですか」
「ではどうしろと?」
「ですから番組を〝夢〟で見せれば『受信料』を請求できるじゃないですか」
「おぉ、そうかぁ。テレビの有無は関係ないのか。素晴らしい」
「その通りです。しかも日本ではその周波数は某国営放送が使っているんです」
「素晴らしい! さっそく開発だ。ただし役人に知られると面倒だから極秘だ。以上。解散!」
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