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余興
余興の始まりと同時に、大きな水晶の壁がいくつも現れた。
「皆様、水晶をご覧下さい」
水晶に映像が映し出された。
そこには、僕がよく知る街が映し出されていた。
「今回の舞台は東京。日本最大の都市、東京が舞台です」
「ほうー、東京か。これはまた、随分と大きな街にしたものじゃ」
年老いた神様は、水晶に映された東京に驚いていたようで、それは周りの神様たちも同じ反応をしていた。
「あのー、これから何が始まるのですか? 東京って、下界の東京ですよね?」
「そうじゃとも若い神。他に東京があるのかな?」
「……ですよね」
年老いた神様は、水晶から目を逸らさずに僕に言いました。
やはり、僕の知っている東京のようで、僕がかつて住んでいた街。
そこが、余興の舞台のようだ。
「皆様、そろそろです。一緒に十数えてください」
「九」
「八」
「七」
「六」
「五」
皆、水晶に釘付けとなり、司会と同じく数える。その光景に、異様な事態に、僕は恐怖していた。
「四」
「三」
「二」
「一」
「零」
「……」
「おい! 何も起こらないじゃないか!」
「どういうことだ、司会!」
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