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好きだから
閉会式までの片づけ
俺は委員会の方行って、あいつはクラスに戻した。
「でも・・」
「いーから。どうせ閉会式までお前の出番はねえよ。」
クラスでもきっとあいつに対する想いは変わってる
テントをばらしながら、また真っ赤になってんじゃねえかなとさっきの泣きそうな顔を思い出していた
倉庫まで運んでいると、気がつけば隣をあの水泳部のいけ好かない奴が同じ歩幅で歩いてくる。
「・・・。」
同じ片付けをしているから。そう思っていても・・俺はこいつが嫌いだし、向こうもそれは同じだ
「なーにー?」
視線を感じまくってるからめんどくさくて声をかける、はぐらかされたらそれならそれでいいやと思いながら。
「・・橘と颯太って何?女の趣味も似てんの?」
「・・・は?」
倉庫は丁度人が居なくて、
呆れた声を出しながら・・そっちかと大袈裟に溜息をついた。
「違うの?」
「何言ってるか解らねえけど。」
今までだってそんな事言われたし、少し前に颯太本人から聞かれたばかり
こんな奴なんてかわすのは訳もない。
でも
「・・ふーん、じゃああの女がしたたかなのか。」
その馬鹿にした様な声に・・逸らした目をそいつに向けた。
「颯太キープで橘に手ぇ出すなんてやるねえ。なーに?そんなに凄いテクでもあるの?俺もあやかりたい・・」
グッ・・!!
気がつけば、そいつの胸ぐらを掴んでいた
笑う顔に余計怒りが注がれて手の力が強まる
挑発に乗るな
解ってる
けど
「冗談だよ、・・じょーだん・・、」
俺のが背が高い。
慌てた顔が俺を見上げて、その顔を見てたら熱が冷めて手を緩めると、即効で離れていった
「・・で、でも凄いスクープだよなあ。」
俺から離れるといきなり威勢が良くなったそいつは
「颯太や周りが知ったらどんな反応するだろう。すげえ言いふらしたい。」
俺の黙ったままの顔に
「あれ?困ってる?だよなあ。親友の女とか?しかも橘だし。」
何がそんなに嬉しいんだか、超楽しそうに笑ってた
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