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その腐った顔が気持ち悪い
「言えば?颯太に。」
「・・え?」
俺の言葉に顔が固まった
「い・・良いのか?俺にそんな事言って・・」
何も考えてない顔を無理やり笑わせてる
こっちが笑うっての
「颯太が、俺の言葉とお前の言葉。どっちを信じるか・・言ってみたら解るんじゃね?」
「・・あ・・、」
「ついでにー皆にも言いふらしてみれば?・・皆がそうなの?って飛びついて颯太の怒りがどこに向くか、試してみれば良いんじゃん?」
「・・・、」
「まあそうなったら、皆があの颯太とお前と、どっちの味方につくかって想像つく?」
縮みあがったそいつの側に行くと
見下ろす形で俺は笑う。
「想像つかないんじゃー・・今からやってみる?」
携帯を取り出して、
「あー颯太?なんか話がある奴が・・・」
「あ、・・ああ、いいっ、」
水泳部のエースなのかよっていう惨めな走り方
その後ろ姿を見ながら背中にベロを出す。
あんないっぱいいっぱいで、よく人を脅そうとするよね
シーンとしたままの携帯をポケットにしまう
「よいしょっと。」
テントのパイプを閉まって、倉庫を閉めた。
あいつは、昔の俺。
俺だって同じ事を颯太に昔聞いた
あの時の颯太の怒りが・・今になって解る
でも、颯太は軽蔑しないで俺と変わらず接していてくれている
それなのに、今となっては好きなのかと心配までさせて。
俺は・・颯太に大事な気持ちを隠しているし
家の事でも颯太とあいつに世話になってばっかりだ。
颯太の奴は、俺と付き合っていて何か得があるのかなと思ったりもするけど・・
友達なんてそんなものと思いたい自分もいる
・・・きっと今頃
クラスの皆と楽しく片付けしてて
嬉しそうに笑顔になるあいつを、颯太が宥めてる筈。
せめて
邪魔はしない
それが今の俺に出来ること
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