好きだから

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閉会式からの後夜祭は体育館でのステージ。 後夜祭の進行は生徒会がやっている 後夜祭自体は自由参加で、ステージでバンドしたりダンスしたりを盛り上がって見ていたり、はたまた校庭のどっかでいちゃついたりと自由だ。 1.2年の時、俺は勿論女とどっか消えてたけど。 今年もそうなると前は思っていたけど。 何でかな、懐中電灯片手に探し物なんかしてます 会議室の鍵がないと先生から言われて、 実行委員が使っていたし、他の委員はステージに上がる予定の奴も多い。 困ってる先生の顔に仕方ねえなと溜息つきつつ 女からの誘いを断るのにうってつけだということで ひとり会議室の中をひっくり返して探していた。 「橘くん、手伝うよ。」 そんな時に現れたのがこいつ。 颯太と居るもんだと思ってたのに、颯太の奴、最後だからと大勢に泣きつかれて翠と一緒にステージに上がってるらしい。 「ファッションショー?よく引き受けたな。」 「なんかね、あの委員の水泳部の人が具合悪くなったとかで・・」 ・・・ああ、帰っちゃったのかよあいつ 根性ねえなあ。 「凄い困ってたから、行ってきてあげてって言ったの・・。」 「お前もほんと酷いね、それじゃあ断れないじゃん。」 酷い?とお前も全く解ってないし 俺は笑ってるけど 校舎にはもう生徒なんていない 消し忘れだと他の先生に間違えられたら面倒だからと、ついてる灯りは非常灯っていうこの中 よくこんなとこ来たよね 「・・良いのかよ、こんなとこで文化祭終わらせて。」 体育館の方から賑やかな音が漏れている 今年はあそこで颯太と一緒に居たって良かったのに 「良いの。委員長だもん。」 「・・委員長ったって・・」 「いーから、副は黙って・・で、何してるの?」 こいつは・・ 「颯太も尻に敷かれる訳だ・・」 「なーに?」 「何でもないですよー。」 けたけたと笑う そう、こういうの 「ここの鍵探してんだよ。先生が真っ青になってっからー。」 「・・え?鍵!?」 デカイ声に懐中電灯照らすと、スカートのポケットから出て来た手のひらに鍵 ぎょっとして見ると 焦った大きな眼して、 「えっ!?お前かよ!?」 「だだだって、先生いつでもいいって・・」 大慌てで焦って、 どうしよと超困って、 「まあ見つかったから良し。」 どうせ先生は後夜祭後までどこ行ったか解らないし。 焦ったと眉を下げて、 でも先生がねと俺見上げて弁解して、 「はいはい。」 俺は笑いが止まらない こいつのこんなとこ。 滅多に見せない、くるくる変わる表情 俺が好きになったところ
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