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俺の事を見上げて話す
またひとつ、学校の皆には見せてないと思う顔
もしかしてこいつ
俺の気持ちに気がついているんじゃ・・なんて思った
周りがあれだけ言うんだ
こいつだって、もしや気がついていたり?
ついていて、それでこうしてここに居るのか?
・・・嫌われてはいないと思う
俺がこうして
抱き締めたくなるのを解っていて・・
懐中電灯を持つ手に力が入りそうになる
この手を引いたら、俺の腕の中に来る?
そしたら俺は・・・
「────だから、」
俺の思考に飛び込んできたはっきりした声に我に返る
「そんな・・良い人の橘くんだから、颯太くんの気持ち解る。」
「・・・え?」
「橘くんにいつか、大好きな人が出来て、大事な彼女が出来れば良いなーって。
よく颯太くんと話すの。橘くんは絶対彼女を大事にするよねって。」
「・・・。」
「もし、そういう人が出来たら教えてね。
橘くんの好きになった人・・絶対素敵な人だと思・・・」
懐中電灯を持つ手に力を込めた
「きゃっ、」
灯りを逆にあいつの顔を照らして、慌てる態度に言葉が止まる
「・・くだらねえ妄想ばっかしてんじゃねえよ。」
さっきまでの胸の内が恥ずかしいわ
「・・・だって、」
「いらねえよ、彼女なんて。前にも言ったじゃん、そんなメンドクサイのお断りー。お前みたいなメンドクサイ彼女もつのが気ぃ知れねえよ。」
さっきまでうるさかった自分の鼓動はどこかへ行ってしまった
バーカと笑いながら
酷いと怒るあいつをあしらいながら
一方通行に、勝手な思い上がりもいいとこ。
万が一、なんてある訳がない
馬鹿なのは俺。
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