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・・・
腕を取られて、逃がさない様に捕まえられる
「俺は女に引っ張られる趣味はないんだけど、」
「駄目よ、彰良なんて手を放したらすぐに逃げ出すんだから。」
俺は野良犬かよ
部活でクタクタなんです、私もですと言いながら俺を連れる腕力があるのはこの翠ぐらいなモンだ。
翠に話があると言われて逃げ回る事丸一日。
なんか女の子といちゃつく気にもなれないから帰ろうとしたら翠に掴まって駅前のファーストフードへ連れて行かれた。奢ってあげるからって当たり前だ
「颯太と彼女の事なんだけど・・」
はい。でしょうね。
お前の話はそれ以外ないだろうよ。
「思ったんだけどさ、あれってやっぱダミーなのかな??」
ダブルバーガーを頬張りながら、眉を潜めるのも面倒になる様な馬鹿な事を翠が言い出した。
「だってさ、どう考えたって釣り合わなくない?
幼馴染なんでしょう?家族ぐるみとかだったりしたら颯太も断り切れなくてとかさ?
逆に言えば、颯太が騒がれるのは好きじゃないから彼女という事にしてくれない?みたいな。・・いやでも絶対彼女の方からでしょう?
だって学校一モテる颯太とただ幼馴染ってだけであの彼女・・って、無理やり感が半端ないし。」
「・・彼女が無理やり、ねえ・・」
もくもくと食べ進めながら
もう、笑うのを堪えるしかない。
あの怒鳴る彼女とうな垂れる颯太、フリなんかであんなこと出来る訳がない。
「彰良だって散々言ってたじゃない。彼女のどこが良いの?って、」
「・・・。」
「あんな大勢の前で鼻血ブーしちゃう女だしー」
「それは俺がぶつかったんだろ。」
「それは・・そうだけど・・・、」
翠の言っている事は解らなくもない。
・・うん、なんか、飯が美味くない。
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