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折角の日曜日。
俺は颯太の家の前に居た
「悪い、すぐ戻るからっ。」
顧問に預かった書類を忘れてきたとかで、部活に来た俺と家に戻るのに学校を出て来た颯太と鉢合わせになりそのままついてきた。
「別にー、慌てて間違うなよ。」
既に始めていたテスト勉強のプリントを間違えて持ってきたというから優等生の颯太らしい。
・・門の前で手持無沙汰な俺はバスケットボールをカバンから出してクルクルと回しだす。
「・・橘くん?」
座る俺の前を一台の車が通り過ぎ、止まって俺を呼んだ。
その声に反応をしてしまったというか、俺の事を橘くんなんて呼ぶのはこいつだけ。
「どうしたの?颯太くん待ってるの?」
律儀に車から降りて来た彼女に訳を話す。
「まあすぐ来るだろ・・おっと、」
話しながら回してたボールが転がって道路に。後続の車に頭を下げて拾っていると、
「すぐそこに公園あるよ?」
ガキかよ。
「バスケットゴールあるよ。」
「公園どこ?」
あ、笑われた。だって暇だし。
彼女は車に戻ると・・車が走り出した。
「・・良いのかよ?」
「そこのスーパーまでだったから。」
いや、そういうんじゃなくて・・まあいいか
彼女が教えてくれた公園は本当すぐ。颯太の家には何回も来ているけど知らなかった。
少し離れたところにあるゴールに向かってボールを投げると
ガコンッ
気持ち良い音を立ててゴールが決まる。
「すご・・っ、」
横ではしゃぐ声に、悪い気がする奴はいない。
落ちたボールへ駆け寄り、2.3回連続でゴールに入れる。
凄い凄いと拍手しながら反応するこいつは・・・
ボールを放ると、
わ、と両手で慌てて受け取って
え、と俺とボールを見比べて
「えっ?む、無理・・・」
顔を引きつらせて慌て始める。
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