250人が本棚に入れています
本棚に追加
シャワーの後、翠に電話をする
もう顧問の話は終わっただろ
「颯太との時間満喫してる?コンビニでアイス買って来いって俺が言ってたって言えよ。」
翠に貸しもう一個つけておこう
ここに来たら挽回できるものはないかもしれないからな
「あー涼し~、」
勝手知ったる颯太の家。
「あ、お姉さんが適当に何か飲んでって。そろそろアルバイトの時間なんだって。」
ここにも勝手知ったる一人がキッチンに立っている。昼飯作ってんのか?
遠慮なく冷蔵庫から飲み物を貰って後ろのダイニングテーブルに座る。
・・・なんか変な感じ。
颯太の家で俺がシャワー浴びて、彼女が飯作っているよ。
彼女の後ろ姿を眺めながら、あの家の近さだしこんな感じ見るとかなりの頻度で行き来しているんだろう。
部活前後とか、学校の近い颯太ん家に来てたけど一回も会った事がなかった。
勿論鉢合わせしない時間にと彼女が調整していたんだろう
毎日部活なのを考えると・・
今日みたいな日って、貴重なのか、勿論邪魔ものは居ない方が良いに決まっているよな
「今日ー・・ってよくOKしたね。」
「え?」
「俺と翠なんて、あんたにとっちゃ敵そのものじゃね?
いくら断りきれなかったとは言えよく了解したなと思って。」
「・・・」
あ、否定はしないのね。
そういうとこ、やっぱりちゃんと芯がありそうだけど
「・・颯太くん、橘くんと大河内さんのこと好きだよ。」
へえ。まあ嫌われてはないと思いますが。
「・・私がOKしなかったら、颯太くんが断っちゃうでしょう?そういう事させたくない。」
「・・・。」
颯太の性格、うん確かにどっちを完全に切りにくいだろう。
「『皆に優しい颯太くん』、だからな。」
「うん・・でも、『皆に冷たい颯太くん』はあまり好きじゃないかな・・。」
ああ、はっきり言うね。
そうか、
あの電話の時、すぐに彼女がOK出したのは・・
言えないんじゃなくて、颯太に言わせなかったのか。
何だか、すげえな。
てめえの好き嫌いだけで動くんじゃなくて
・・こんな風に、颯太の立場を考えてやってるのかよ。
最初のコメントを投稿しよう!