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「颯太愛されてるね~、」
いやいやって笑ってる後ろ姿に茶化した言い方しか出来ないよね。
深刻に聞いちゃうと、あの時の自分のやったことがとても小さく感じる。
「でもあのあと俺が勘違いとは言え怒鳴りつけたりしたじゃん?
あんなのあったら颯太に文句言えただろ?そしたら颯太だって流石に怒るだろ、」
颯太が彼女を好きなのはあの後よく解った。
彼女の方も颯太の事をちゃんと考えているのも解った。
その横に居る俺達がおかしなことをしていたら、うるさいと言えたのに。
少なくとも今なら言えるだろ?
「・・だって、あれは私が颯太くんをバスケ辞めさせようとしていたのを怒っていたんだよね?
それは颯太くんが好きだから、でしょう・・?
そんな人が颯太くんの友達で良かったよ。」
「・・・、」
そっちかよ、そう考えるのか
俺は颯太の、友達。
確かに、颯太がバスケを辞めるんじゃないかと焦ったんだ。
彼女が・・こいつが誘導して辞めさせようとしているんじゃないかって
でも、そんな事ですら
颯太の友達がそう考えてくれて良かったって・・そんな風に考えるのか。
彼女が発したのは
多分とても良いこと。
友達だから。
そう、俺は颯太の友達。
颯太の彼女として、良い事の筈なんだけど
どうしてだろう
見えない線を引かれた気になった───
何かが胸に引っかかる
でも俺はその正体を、彼女に対する今までの嫌悪を羞恥に変えたものだと納得させた
実際、自分の中では少しずつ認め始めていた
何か違う
こいつは、颯太の彼女は・・・
今までの俺にはない
よく解らない
でも、何故か心地いい
全くの新しい存在。
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