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───答えが解っているくせに
そんな安易な言葉に
先生も、彰良も振り回した後
珍しく遥奈が学校を休んだ。
『ごめんね、風邪引いちゃった。もう元気だしうつしたら嫌だから来なくて大丈夫だから・・。』
昼返って来た連絡に携帯を消して、大した事ないならと安堵した後
もう一つの気がかりに気を移す
・・なんか彰良の様子が変なんだよな。
どこ?と聞かれたら答えられないんだけど。
ただ、勘?としか言えない。
いつもの飄々さがなくてなんか落ち着きがない
・・昨日デートみたいな事を言ってたから何か良い事があったのかな?
彰良の心に引っかかる様な女の子だったら良いんだけど。
そう漠然と思いながら、遥奈の所へと行こうとしたのに姉ちゃんに買い物を頼まれて遅くになってしまう。
夕飯の時間になったらおじさんとおばさんに気を使わせると急いで、あの角を曲がったら遥奈の家・・と角まで来て聞こえた声に足を止めた。
「───悪い。」
男の声。配達か何かと条件反射で止まった足。
「・・なさい、」
ん?おばさん?遥奈?
そこに会話がある事に足が止まって・・思わず聞き耳を立てるって程じゃなかったのに
けど、耳が疑いをかけて頭が急回転する、・・この声
「結衣が美味かったってよ。俺はソースしか食ってないけど。」
続いていく会話にまだどこかで疑っていた。
聞いた事ある?いやただ似ているだけ・・?
だって、ここに居る訳がない。
彰良が、なんて
信じられない事は続く。
遥奈が、笑みを含んだ声で言葉を返していた。
教室で、
部活で?
俺の知る限り遥奈と彰良に何も接点もなかった筈。
少なくとも遥奈は・・
「俺帰ったら皆で食っちまって、何も残ってねーんだもん。」
いや彰良だって
嫌いな奴にこんな声で笑って話すなんて事は出来る奴じゃない
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