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「ここまで。」
手を割り込ませたのは半分衝動。
それなのに
「・・颯太、」
彰良の表情に、一瞬で怒りが沸き出す。
何だよ
何々だよその顔は。
俺が出てきて、そんな驚くな。
マズイなんて顔をするなよ
「結衣にだよ、昨日偶然貰って・・」
彰良の義妹。そりゃ何か理由がある筈だよな
でもお前は、俺が何に腹を立てているのか解っている筈だ
普通に何かあればいつもの気怠い顔で言えばいい
俺に言えばただ済む話だろ
お前にとっちゃ、遥奈はただの俺の嫌いな彼女で・・女の事なんていつも何でもない風に言うくせに。
今日遥奈が休んだのも・・・お前が絡んでいるのか?
気がつけば彰良の胸ぐらを掴んでいた
「こいつに謝る何をしたんだよ!!」
そう、彰良は始め謝っていた。
───ごめん。
何をした
遥奈は、お前がいつも相手している女とは違う
俺の大切な───
固まったままの彰良を見据えたまま
後ろから「違うよ」としがみつく遥奈の細い腕。
遥奈も俺の言いたい事を解っている
違う、と言うなら下手な手を出していないということ?
それなら
「おい、」
彰良が俺を素通りして遥奈に声をかけている
「何が違う!?」
苛立ちも手伝って、遥奈に向かってぶつけてしまった
彰良と楽しそうに話していた・・つまらない嫉妬も込めに込めて。
だけど
遥奈が俺に向ける目に
涙とやるせなさが籠っていて・・
「颯太くんが大学変えようとしているなんて、私聞いてなかったからっ」
遥奈が声を上げて、ようやく我に返る
彰良と遥奈の接点、
・・俺だ。
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