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ぼやけた硝子戸越しに見える比嘉くんの裸体にドギマギしながら、服を脱いでいく。彼が浴槽に浸かるまでは時間稼ぎをしたかったのに、すぐに裸になってしまった。
き、気まずくないかな…どこ見れば良いんだろ……。
視線は床に向け、観念して戸をゆっくり開けた。けれど視界に入ってしまい、引き締まった彼の濡れた体にすぐに視線が引き込まれた。
「ん……佐倉さん、次良いですよ」
「う、うん!」
話し掛けられると慌てて視線を逸らし、退いてくれた比嘉くんの横を通って頭からシャワーを浴びた。こうすれば彼の体は気にならない。そう思っていたのに。
「……ん? ……ぁっ……!」
一瞬わからなかった。けれど、俺の背中に密着した彼の肌が生々しくて一気に体が強張った。今まで抱き締められた中で、一番彼を感じた。
「佐倉さんの肌、こんなに明るい場所で見たの初めてですね……」
「んぅ……!」
肌に感じていたのはシャワーから流れ出るお湯の筈だったのに、今は首筋に触れた彼の唇の感触だけが強く感じられた。
そのまま俺の胸元に彼の手が滑り、胸の飾りを指で弾かれた。
「ぁっ……そこは……」
「感じちゃいますか?」
「ぁ……!」
浴室に居るせいで、いつもより自分の声が恥ずかしくなるくらい自分の耳に返ってくる。同時に比嘉くんの俺を煽る声も、腰に余計響いてきた。
「佐倉さんの……綺麗ですね」
「ぁっ……やっ! 見ないでっ」
俺の目の前には鏡があって、俺の裸体が後ろに居る比嘉くんに丸見えだった。
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