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上半身を起こすと、腰に鈍い痛みを感じた。
周りを見回すと、部屋がいつも居る自分の部屋とは違う。服も昨日着ていたスーツではなく、見慣れないスウェットに着替えさせられている事に気付いた。
そういえば昨日……比嘉くんと……
「おはようございます佐倉さん」
「っ!?」
リビングから戻ってきた比嘉くんに驚き、体がびくついた。彼を見て昨日の夜の事が鮮明に思い出された。
「スーツ、皺になるといけないので勝手に着替えさせました。それと朝ごはん作ったのでよかったら食べてください」
「は、はい」
意外と普通だ。昨日の事はやっぱり酔っ払って暴走しただけで、覚えてないのか。忘れてくれてた方が良い気がする。28の男が酔っ払った年下の男に襲われたなんて、恥ずかしいじゃ済まされない。あっちも男を襲ったなんて嫌だろうし。
昨日の事を思い出していると、比嘉くんは俺の方に歩いてきた。そして床に正座し、勢いよく頭を床に押し付けて土下座した。
「えっ!? ひ、比嘉くんどうし……」
「昨日はすみませんでした! 酔っ払って佐倉さんに恐い想いをさせました……本当にすみません! 俺はっ!」
昨日の事は覚えているのか、とても反省しているようだ。自分のした行為を悔いて自らを罰する様に、床に自分の頭を強く打ち付け始めた。
見ているだけで痛い。
「ひ、比嘉くん! もういいからっ!」
痛む腰をゆっくり気遣い、ベットから降りて彼のそばににじり寄った。
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