映画とチンピラとスイートポテト

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 マンションに到着すると0時近くて、とりあえず比嘉くんの部屋にお邪魔した。比嘉くんは擦りむいた俺の腕などを絆創膏を貼って手当てしてくれ、とても優しくしてくれた。 「これで大丈夫だと思います」 「ん、ありがとう」  今日はとても散々な1日だった。比嘉くんに迷惑をかけっぱなしで、彼はきっと俺のせいでお出掛けを楽しめなかっただろう。俺が情けないせいで、彼には申し訳ないことをした。   「比嘉くん……ごめん。結局お店の代金もタクシー代も出してもらっちゃって。喧嘩もさせちゃったし、お金はちゃんと払うから」 「別にいいです。すみません、俺が早く気付けば佐倉さんが怪我せずに済んだのに……」 「いやっ、比嘉くんは悪くないから!」  俺は本当に情けない。比嘉くんとのお出掛けを良いものにしたかったのに、迷惑しか掛けていなくてその上謝らせるとか最低だ。俺が反省してしゅんとしていると、さっき奪われそうになった紙袋を比嘉くんが俺に渡そうとしてきた。 「佐倉さん、これ大事な物なんじゃないですか? さっきの奴等に開けられそうになって怒ってたし」 「あ、それは……その、比嘉くんにあげようと思って」 「え……」 「いつもお世話になっているから……そういうのなら使ってもらえるかと思って。でも、今日もかなり迷惑掛けたしそれだけじゃ釣り合わないかもしれないけど」 「……開けていいですか?」  小さく頷くと比嘉くんは紙袋を開けてエプロンを取り出した。
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