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「だっ、だって、映画の時はずっと腕掴まれて気持ち悪かっただろうし、ご飯の店も俺と好み合わなかったみたいだし。おまけに俺が男の人達に絡まれたせいで面倒事に巻き込まれて俺のこと呆れただろうし……」
「っ!」
そんな勘違いをして欲しくなくて、俺は佐倉さんを思わず抱き締めていた。
「ちょっ!? 比嘉くん!?」
「俺が佐倉さんを気持ち悪がったり呆れたりするはずないじゃないですか! それどころか、もっとそばに居て佐倉さんを守りたくなりました! もう可愛くて堪らなくて……」
「え、な、何言って」
困惑しているのがよくわかる。ここまできちんと自分の気持ちを話した事はまだなかった。でも言わないと佐倉さんは一生気付かないだろう。今まで見ていたが、この人は鈍感だ。もう全て話してしまおう。
俺は事細かく今日の心境の説明をし、佐倉さんを真っ直ぐ見つめた。
「俺、佐倉さんのことが好きです」
「……へ……?」
やはり、好意は伝わってなかったか。
「俺と付き合ってください」
この人はたぶんここまで喋っても実感出来ず、わからないかもしれない。でも俺は年下の知り合い止まりで終わるのは嫌だ。いつ他の誰かがこの人の魅力に気付いて虜にならないとも限らない。俺がそばに居ないと、この人はトラブルに巻き込まれるかもしれない。
誰かのものになる前に、早く動いた方が良いと思った。
あの日の夜の出来事を、佐倉さんにとって恐い出来事で終わらせたくない。だから俺は上書きを申し出た。
俺と過ごす時間を、俺の印象を良いものに変えないとこの関係は変わらない。そう思って、俺は1歩踏み出すと決めた。
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