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姫君の嘆きに応えるものは無く、救いが訪れる気配も無く、ただ固く冷たいガラスの塔が高く、高く空を臨んでいるだけ。
幾千の夜と幾千の日を越え、ついに孤独と絶望と、そして深い悲しみの果てに胸が張り裂けた姫君は、そこで命果てた。…たった一人きり。
看取ったものは、遠く輝く太陽だけ。
そうしてその晩も、闇色の羽を広げ、魔物がガラスの塔へ舞い降りる。姫君の死を知った月の魔物は、気も狂わんばかりに嘆き悲しんだ。
嘆きの果てに、姫君を一輪の花に変えた。たおやかで美しい、満月の晩にだけ咲く花に。
そして魔物は叶わぬ夢を見る。
「歌ッテオクレ。」
…と。
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