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 確かに、抜けるような青空だ。最近は晴れていても色味が薄かったり、靄がかかったような空模様が続いていたから、その青さが際立っている。  「最高のドライブ日和!」と育都が声を弾ませて叫ぶ。声につられて顔を向けると、夏空に負けないくらい爽やかな笑顔が目に映った。シャープな顎のラインと高い鼻筋に、黒縁眼鏡から掛け替えたグレーの偏光サングラスがよく似合っている。 「鞄のなかにお茶と食い物が入ってるから、適当に出して食えよ」  後部シートを漁ってスーパーのレジ袋を引っ張り出す。なかにはペットボトルのお茶と、菓子がたくさん詰めこまれていた。どう見ても育都の趣味ではなさそうなラインナップに、苦笑した。 「悪いな。台所の戸棚から適当に持ってきたやつだ」 「……和菓子ミックスって、お盆と正月以外見たことないし」 「うちの母親が大好きなんだよ。固いゼリーに砂糖がまぶしてある、あの気持ち悪いやつ」 「あ、それ俺も好き」 「ええー? あれはナシだろ!」  他愛のない会話でくすくす笑い合っていたら、次第に緊張が解けてきた。 「あのさ、霊能者一家って言ってたけど、両親とも?」  俺の問いに、育都は首を横に振った。 「いや、親父の方。母親はほら、普通にラーメン屋の娘だろ。父方の家系は先祖代々陰陽師みたいなことやってたらしくて」 「陰陽師って映画でやってた、あれ?」 「そう。ああいう事を目立たないところで地味にやってる人種だよ。俺の爺さんが写真を使って霊を鎮める方法を編み出したのがきっかけで、葛木写真館を始めたんだ。親父も俺も多少はそういう能力があるんだけど爺さんには全然及ばないし、ふたりとも霊を撮るより人間を撮る方が断然好きだから、今は普通の写真館」 「それじゃ、陰陽師は廃業?」 「いや、それらしきことは弟がやってる」
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