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平賀は走っていた。普段の運動不足が祟ったのか、あるいは極度の心労なのか…息を切らしながら自室へ向かう。
あのマスコミは無事であろうか。またあの化け物に出会ったときにどう対処すれば良いか等と考えながら、何故か遠回りをして自室に向かっていることに気付くことはなかった。
自室の前に辿り着くとそこには何かあるわけでもなくドアが閉められていた。平賀はゆっくりとドアを開けると中は出たときと変わらず几帳面に片付いていた。
机の前に立つあのマスメディアが居ることを除けば…
「何も漁ってませんからね!」
「そんなことはどうでも良い。ここで死なれては後味が悪い。早く出るぞ!」
というとマスメディアの手を無理矢理つかみ部屋を飛び出した。いきなりの事で驚きを隠せないマスメディアと気にせず走り出す平賀。
平賀はこの広く複雑な施設…首相官邸をまるで自分の庭のように駆けていった。
「ここにこんな道があったとは…流石総理秘書官!内部構造は理解してるんですね!」
「理解なんぞしていない!しかしこの道を進めば安全に目的地に着くことが分かる!」
平賀は強く言い放ったのち驚いた。自分が何故この道は安全だと言い切ったのか。
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