ジョギング

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「スプーンないの?」 「ないね」 「あっ、 じゃあ貰ってくるよ」 裕子はナースセンターに小走りで走った。 「済みません、 412号の高井ですが、 母が左手が使えないので スプーンを頂けますか?」 「412の高井さん、 はい、 すぐにお持ちします」 病室に戻り母親のベッドの横の椅子に座って食事を取る様を見ていた。 しばらくすると看護士がプラスチックのスプーンを持ってきてくれた。 「はい、 どうぞ」 「ありがとうございます」 「お母さん、 はい、 スプーン」 「ありがとうね」 「なんか、 あまり進まないね。 この御浸し食べないの?」 「うん?御浸し?」 「これだよ」     
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