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今日は病室のベッドを仕切るカーテンは全て開かれている。
裕子は手前のベッドの患者に軽く会釈をして母親のベッドの横に進んだ。
母親はベッドで目を瞑っていたが、
裕子の気配で目を開けた。
昨日より顔立ちはすっきりしているように見えた。
「どう、
お母さん、
具合は」
「昨日の夜、
ずっとこれで手のリハビリしたんだよ、
そしたら、
ほら」母親は左手を動かして閉じたり開いたりして見せた。
昨日まで麻痺で動かなかった左手が動くようになっていた。
「えー本当に?どれどれ、
もっと手動かしてみて!」
「すごいじゃない、
本当に治って来たね!こんなに早く良くなるんだね!」
「お前がこれ持ってきてくれたお陰だよ」
「良かった。
ねえ、
目のほうはどう?」
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