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今までは気に留めなかったその変化を、
裕子はこの一年の間にはっきりと感じた。
でも、
変化に気づかないときも、
それはそれで必要だったのだと思えるようにもなった。
今では緑色に色づいた植え込みの間を裕子は久しぶりに走った。
久しぶりなので身体は以前のように軽くは無かったが、
気分がそれを後押しして走った。
走るスピードが上がると植え込みに隠れていた雀の群れが、
あの時のように飛び立った。
そして、
反対側の植え込みに隠れた。
雀の群れを追うように走る裕子。
「うちの父親がね、
認知症になったかも知れないの」
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