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裕子の走るスピードはまた少し上がった。
その人影はそれに比例して近づいた。
最近、
以前より視力が落ちた裕子にもわかる距離に近づいた。
違ったか―
遠くから見えたその姿は子供を連れた若い女性だった。
裕子は走るスピードを緩めた。
その親子とすれ違う手前でUターンをして来た道を戻った。
いいや、
また来るから―
裕子が近づくとサイクリングロードの左の植え込みに隠れていた雀の群れがまた飛び立った。
雀は今度は植え込みには飛び込まず遠くへ飛び立った。
雀の群れが飛びゆく方向を見上げながら走った。
その先に先程、
通り過ぎた水門が見えて来た。
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