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__「は?何よ、そのレンタル彼氏って」
「だーからー、一颯を忘れるための一歩よ。それに記念すべき二十歳の誕生日なのよ、パーッとやってきなよ」
「そそ、失恋の痛手を癒すには、新しい恋って言うっしょ?デート三時間だけだし、気晴らしに行ってこいって」
大学のラウンジで人目も憚らず、ノートパソコンを広げて力説する二人は、私の幼馴染の小春と海斗だ。
「ほら、この人だよ、よく見て!この人、人気ナンバーワンなんだよ!?普通なら二か月先まで予約埋まってるのに、たまたまキャンセルがあって、たまたま一週間後のあんたの誕生日に指名できたのよ」
「俺よりは劣るが、なかなかいい男だな、うん」
パソコン画面に映し出された男は、確かにイケメンだし、人気ナンバーワンってのも納得出来る。こんな大人の男の人とデート出来たら、そりゃ夢みたいなことだけど……って、違うわっ!
「そんな怪しいサイトの中の、実際にいるかもわからない男とデートなんて怖くて出来るか」
襲われでもしたら、たまったもんじゃない。
「言っとくけど、もうお金振り込んだから、今更キャンセルはできないからね。あ、それと今後のアポはサイト内のメールBOXで自分でとってね。デートコースとかもあんたの好きなところでいいらしいから!私と海斗からの誕プレなんだから、有り難く受けとってね」
「えええええっ」
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