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 わたしが新しい習慣で時間を過ごすようになってから、お父さんの早く帰ってくる日が増えた。  前はそんな日はめったになかったのに、この一週間は、明るいうちに玄関を開ける。  お父さんが雨を連れて帰って来るのか、ずっと細い雨が降ってばかりだったけど、今日は久しぶりに晴れている。  ベランダに出て、手すりに手を置いた。あごを手の甲にのせて、トラックを目でおった。銀色の荷台が、車が揺れるたびに光る。  雨が空気のほこりを洗い流したのか、ベランダからの景色は、いつも以上にくっきりと色を放っていた。 「なに、見てるの?」  ふりむいたわたしに、お父さんは途切れがちに話を続けた。 「睦美が、ベランダに、長い時間、いるって、おばあちゃんが、教えてくれてね」  ぎこちない笑顔。  お父さんはズボンのおしりに手の平をごしごしとこすりつけていた。返事をしないわたしから、目を離さない。    日の当たるベランダにいたせいか、いつもはふさがっていた口が、自然とあいた。 「走ってる車とか、動かない屋根とか、歩いてる人とか、まっすぐな道とか、生えてる木とか」
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