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第二章
俺は怒り狂いながらアパートの扉を開き、そこに置いてあった掃除用の箒を手に取った。四畳半に足を踏み入れると、ミーは呑気に昼寝をしている。「おい、起きろ!」俺は怒鳴った。ビクっと身体を震わせてミーは飛び起き、不機嫌そうに言った。「何事にゃ?」
「説明してもらおうか?」
「な、何のことにゃ?」
「しらばっくれるな!俺は信じてたんだぞ、お前の言うことを!」そして有無を言わさず、俺は箒を握り締めてミーに襲いかかった。
数十分後。
全身汗だく、かつ切り傷噛み傷だらけになりながら、俺は肩で息をしつつ言った。「じゃ…、本当に…(咳き込む)お前じゃないって…言うんだな?」
「当たり前にゃ!」こっちも傷だらけになりながら、憤懣やる方ないと言った様子でミーが言う。「最初からそう言ってるにゃ。何の情報に踊らされたか知らにゃいが、その人間の言葉を喋る猫と言うのは俺とは別人、じゃない、別猫、いや、別宇宙人にゃ!」
長い沈黙、俺はようやく、言葉を絞り出した。「…すまん。」
「わかれば良いのにゃ。」ミーはあっさり、そう言ってくれた。「けど、一体何があったのかは、教えて欲しいにゃ。」
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