失恋松の木の下で

近頃ならメール。少し前なら下駄箱に手紙。他には、電話など文明の力を使っての告白が主流になったとか、思いきって告白をする生徒の方が少ないだとか理由は一つではない。

だが、たまゆら学園での一番の原因は、裏門の東の角にある松の木にある。

もちろん、例えば根が腐っているとか、今にも折れそうだとか。松の木に根本的な原因があるわけではない。

松は、樹齢何百年と重ねた大変に立派で大きな大きな木だ。

しかし、この松の木には失恋松と代々、生徒に呼ばれ続けている二つ名があるのだ。

学園では、失恋松の下で告白をすると、必ずフラれるという不吉なジンクスが言い伝えられている。

いつの頃から呼ばれたか、松自身もすでに覚えていない。

しかし、失恋松と呼ばれるキッカケになった出来事は、よく覚えている。

失恋松にとっても胸が痛い思い出だからだ。