失恋松の木の下で

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ある女生徒が慕っている男子生徒を松の下に呼び出し、こっぴどいフラれ方をした。 それを陰で見ていた女生徒の友人がいた。 彼女はお喋りでその日の内に、学園中に広まってしまった。 そのため松は、失恋松と呼ばれるようになったのだ。 それから、縁起が悪いと言われて松は、人が近寄らなくなり、裏門はあまり使われなくなった。 たまに、失恋松の噂を知らない生徒やただの噂だと高を括る者。自分は大丈夫だと自信のある者。これらの猛者たちが、松の下で告白をしたが、どれもこれも失敗していた。 そして、フラれた生徒は皆、揃って「失恋松の下だから」と、フラれた原因を松のせいにしていた。 それでも松は、黙って生徒達の成長を見守っていた。
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