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「眠っているの、みんな」 彼女はそう答えた。僕は何も聞いていないはずなのに、僕の僕にもわからない問いを彼女は察したようだった。こう言うと変に聞こえるかもしれないが、そういう説明が一番しっくりくる。彼女は僕が言葉にも概念にも未だなっていない原始の着想のようなものを汲み取り、僕より先に言語化するのだ。 それは心が読まれていると感じるよりは、僕が欲しがっていた、それか認めてもらいたかった(ひらめ)きを救ってもらえたかのような喜びすら感じさせる。不思議な力だと思った。 竹を光らせる少女は、かぐや、と言った。 「そう、かぐや姫のかぐや。わかりやすいでしょう? 竹も光らせることができるし」 大和撫子を連想させる長い黒髪に、華奢(きゃしゃ)な身体つき。(けが)れを感じさせない清楚な白いワンピース。夜の暗さの中で彼女の周りだけが淡い光に護られているように見えた。僕は見惚(みと)れていた。彼女は話を続けた。
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