2.お出かけしましょう

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「あ、髪の毛が。ちょっと解きますねー」  一つにひっつめていた髪を手早く解くと、またなにやらやっている。  わー、もしかして、髪にからまった? 最悪、最低、いやー!  鱗粉まみれで髪に絡みつくヤツを想像して涙目になる。 「大丈夫ですよー、心配したようなことはないですよー」  強張りが伝わったのか、頭をポンポンと優しく叩かれた。 「よし、できた!」 「できた? なにが?」  身体を離して見上げると、永田はにっこりと微笑む。 「可愛いですよ、先輩」  ビルのガラスに映った姿を指差す。  ひとつにひっつめた髪型は、結び目をずらしサイドが緩く解されて、やわらかく落ち着いた印象になっていた。 「すごい!」  素直に賞賛を送る。いや、まじで。器用すぎるでしょう。  姉か妹か、手のかかる彼女がいた経験アリだなこれは。 「デキる男は何だって出来るんです」  えへん、と鼻高々に威張ると、 「小説のヒーローとして、これ以上ないと思いませんか?」  ニヤリと意地悪く笑った。  不意打ちの辱めに、かっと顔が赤くなる。  すっかり忘れてた。こいつ、小説の主人公にしてくれって言ってたっけ。 「こうやって僕の凄さカッコよさを知って、それを作品に活かしてくださいね」 「はいはい……」     
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