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9.永田くんとかーくんの残骸
「先輩。いつになったらこのゴミの山、片付けるんですか」
そろそろ暖かくなってきた、月1休みの土曜の夕方。
そう言って永田が苦々しげに見つめた先には、夕陽に照らされた山積みの段ボール。
中はもちろん、整頓の途中で手つかずになっているかーくんの私物である。
私はギクリと肩を震わせて、恐る恐る口を開いた。
「め、めんどくさくて……」
「さっさと連絡して引き取ってもらって下さいよ」
永田の目は据わっている。
いつもは私のことに口出ししない永田も、コレに関しては遠慮せず苦言を呈す。
なぜなら、私が立ち直れない元凶のひとつであるのが明らかだからだ。
それに加えて、かーくんの荷物はやたら多くて狭い部屋を圧迫していた。
他人の荷物を片付けるのは苦手だ。
しかも、困ったことに……
「全部捨てていいって言われてるので……」
かーくんは着の身着のまま出て行って、荷物は全部捨ててくれという。
だけどそんなの、勝手に捨てることは出来ない。
本当に大事なものはないのか。整頓して段ボールに詰めても、送り先もわからない。
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