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2.お出かけしましょう
あの日から、永田はやたら絡んでくる。
主にお昼休憩、テーブルに自作のお弁当を広げた私が、たまたま一人の時を狙って。
……まぁ、誰かがいる時に『小説』の話をされては困るからそれはいいんだけど。
「先輩。僕は先輩とメッセージのやりとりがしたいです」
プライベートな携帯アドレスの交換を持ち掛けられたので、仕方なく教えあっていると、休憩室の窓際でテーブルに向かい合って座った永田が言った。
私はお弁当を突きつつ、缶コーヒーを飲む彼を見つめて首を傾げる。
「先輩、ガラケーじゃできませんよ。スマホないんですか?」
「面倒くさい。スマホなんて難しいしいらないよ」
「すぐそーやって尻込みする?。使ったら便利だと思いますよ、文明の利器」
「うるさい、文明なんていらん! この爆弾で石器時代に戻してやる」
「この原始人ナパーム持ってる!」
「しかし つかいかたが わからなかった!」
「さすが原始人」
アホなやりとりに、永田は目だけで笑う。
喋る様になって解ったが、毒舌クールぶっていて本当は、他人を弄って遊びたい小学生みたいな奴なのだ。私は格好の餌であったと自負しよう。
「まぁ、いいよ。ガラケー終わるし……」
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