2.お出かけしましょう

2/9
前へ
/398ページ
次へ
「形あるものはいつか終わるのです」 「仕方ないよね、否が応でも時代は移り変わるし、いい機会だわ。頑張って買ってやる!」 「ちょっと高いですけどねぇ」 「……あんたは買わせたいの、買わせたくないの?」 「ははは。じゃあ、気が変わらない内に。今週末とか空いてます?」  さらっと週末の予定を聞いてきた。  最近、彼の周りの風通しは良い様で、小声とはいえこんな話をしていてもあまり気にされない。それに今日は良い陽気で、外食に出る者が多いのか人も少なかった。  永田は頬杖をつきながら、顔を僅かに寄せてくる。  近付くと、影を作るほど長い睫毛が認識できた。スッと通った鼻筋や薄く形の良い唇は、なるほどイケメンである。  私は不意に落ち着かない気持ちになって、体を逸らした。 「昼まで寝ている予定。あと、夜は飲みに行く予定!」  素っ気なく答えると、永田が苦笑する。 「まぁ休みの日はそんなもんですよね。夜はお一人で?」 「あんた、さすがに私だって他人と飲むことくらいあるわ」 「合コンですか?」 「……違うけど、おしい! 友達が男の人紹介してくれるって」 「それを合コンと言うんです」  呆れたように言う。  最近、同情からかやたらお誘いがあることを彼は知っている。     
/398ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2461人が本棚に入れています
本棚に追加