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「じゃあ、お昼から夜までは僕に下さい。で、スマホ買いに行きましょう」
「ええええー! 海外ドラマ観るつもりなのに」
「……合コンの後に見たらいいじゃないですか。一人寂しく」
「一人寂しいかどうかわかんないでしょー!」
思わずムッとして言い返せば、冷たい視線をいただく。
「そうですね。どうでもいいです」
「自分が言ったくせに……」
理不尽! という叫びを飲み込んで、お弁当の中身を口に詰め込む。
ほうれん草とベーコンのソテー、玉子焼き、キンピラゴボウ…定番メニューは味にブレがなく手軽だ。あ、今度炊き込みご飯にしよう。そうなるとオカズは……
「あ、それ。一口ください」
「どれ?」
「その、玉子焼き。真ん中のやつがいいです」
三つ並んだ小さめの玉子焼きの、一番大きくて綺麗に焼けたものを指差した。
「あんたって、ずーずーしい」
文句を言いながら玉子焼きを箸でつまんで、あーんと間抜けに開いた永田の口に放り込む。
「……へぇ、甘いタイプか」
「永田様のお口に合いませんでしたか」
「いえ、好きです。僕甘党なんで」
にこにこと笑顔で答える。
意外と素直なとこもあるものだ。
「それはようございました」
「うん、苦しゅうない。じゃ、週末にまた連絡しますね」
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