2459人が本棚に入れています
本棚に追加
か、かわいい…。
花柄のハイウェストなスカートと、抑えめの色合いのトップス。軽い素材のロング丈ジャケット。
自分ではこんなの買うことはない。マネキン一式これ下さいしてる私は情けなくなる。
永田は私を上から下まで眺めると、満足そうにうんうんと頷いた。
「先輩は地味だから、花柄が似合うと思ってたんですよね」
「それって花柄に失礼じゃない?」
「そうですね。先輩ごときに似合うなんて、花柄様に失礼でした」
「そうじゃなーい!」
地味な人に似合うって方だよ!
ぷーとむくれてみせると、永田はまじまじとこちらを見つめて
「あれ、先輩。先輩があんまり可愛いから、本物の花と間違えて……」
ふっと、視線を動かす。
あら? 蝶々でもとまった?
「蛾がとまってます」
「ぎゃー!!!」
バッと体を払って、永田に泣きつく。
バタバタと腕を動かして、振り払おうともがいた。
「やだやだ、とって、永田くん!!」
「おっと。落ち着いて下さい、先輩」
パニックになる私を正面から優しく抱きとめると、手を回して髪に触れ、なにやらごそごそやっている。
「とれた? とれた?」
「まだまだ」
何かを払うような気配がする。
最初のコメントを投稿しよう!