2.お出かけしましょう

8/9
前へ
/398ページ
次へ
 永田で一本も書ける気がしないけど、適当に頷く。 「ねぇ、これ本当にいいの? お金、週明け持って行くよ?」 「会社でお金渡してくれるんですか? 闇取引の噂がたちそうで怖いですね」 「そんなわけないでしょ!」 「はは。でも、女の子の服って安いですよね」  しかもセール品でしたし、と付け足す。  確かに安かった。ブランド品でもないので金額はそれほどでは無い。  とは言え、このまま黙って受け取るのもアレだし、固辞するのもプレゼントなので却って申し訳ない。後日何かお礼を考えておくとしよう。 「なんか、悪いな。でもすごく嬉しい。永田くん、ありがとう」 「…いえいえ」  笑って素直にお礼を言えば、永田は戸惑ったような曖昧な顔をした。 「じゃー、スマホ買いに行きましょう! スマホ!」  が、すぐにカチッとスイッチを切り替え、意気揚々と携帯ショップを目指し歩き出した。  数分歩くとショップへはすぐに辿り着く。  中へ入ると、クーラーが効いていて涼しかった。初夏とはいえ今日はお天気が良く、歩き回った私たちには嬉しい。 「やばい、全然、訳わかんない」 「うん、でしょうね。こういうのはね、わかんないように作ってあるんですよ」     
/398ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2459人が本棚に入れています
本棚に追加