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そして、永田にそれはお見通しなのだ。
わかっていながら反論しても、余計に冷ややかさが返ってくるだけだった。
「はぁ? わからない? バカ? 2人きりで部屋にいて、お酒飲んで寝ちゃったら、朝にはそうなってない方がおかしいんです」
「うぅ……。ごめんなさい」
軽蔑の目に耐えきれず素直に謝ると、永田がしょうがないとため息をついた。
「さぁ、先輩んちに帰りますよ。DVD見ましょう」
………ん!?
「え、あんた、うちくるの?」
「もちろん。夜中にこさせといて、無下に帰すんですか? ひどい」
呼んだ覚えはないのだが……。
「一晩一緒にいたら、朝にはどうにかなっちゃうって、さっき自分が」
「僕は安全人物なので完璧に安全です」
私の疑問を遮って、自信満々にビシッと宣言すると、にっこりと胡散臭い笑みを浮かべる。
なんじゃそりゃ。
でも、確かに永田が強引に何かする必要なんて感じない。彼はその気になればモテるし、私なんて相手にする意味ないだろう。
きっとこれは、こうなる事を見破っての、心配とか親切心とか、もしくは嫌がらせなのだ。
「そもそも良く家がわかったね?」
「ええ。今日買った携帯の契約書に住所が書いてありました」
あぁ、そういえば。考えつかなかった。
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