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確かにエロ描写多目の小説だった、確かにそうだった。それを読まれたのも恥ずかしいし、それを経験のない私が書いているのを知られたのも恥ずかしい。消えてしまいたい。
そう思って目をぎゅっと瞑って俯くと、永田くんは大人しくなった私を前にひとつ唸った。
「ふぅん……。よし、決めた」
「決めたって、なにを?」
「1個目のお願い」
「い、1個目?!」
一体全体、何個目まであるの? そのお願いは!
悲鳴のような叫びをあげて永田を見ると、彼は悪戯っぽい笑みを浮かべながら言った。
「僕を題材に小説を書いてください」
両手を広げて、どうぞ! とばかりに宣言する。
「はっ?」
意味がわからない。
いや、意味はわかるけど。
そんな事して一体全体、あんたに何の得があるっていうの?
「だからー。地味でどうしょうもない先輩と、カッコよくて王子様な僕の恋愛小説を書いてください」
「はっ……?」
「年下のイケメンからこんなこと言われるなんて、まさに恋愛小説じゃないですか? あ、僕は断然カッコよく書いて下さいね。持てる限りの力をもって、最高のヒーローにしてください」
ちょ、ちょ、ちょ。
注文多すぎない? 注文の多い俺様読者様? てか自分をイケメンて、どんだけ自惚れてるの? その高い鼻っ柱折って差し上げましょうか。
って、いやいや、まず、相手は私なの?
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