1.はじまりは一生の不覚

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 確かにエロ描写多目の小説だった、確かにそうだった。それを読まれたのも恥ずかしいし、それを経験のない私が書いているのを知られたのも恥ずかしい。消えてしまいたい。  そう思って目をぎゅっと瞑って俯くと、永田くんは大人しくなった私を前にひとつ唸った。 「ふぅん……。よし、決めた」 「決めたって、なにを?」 「1個目のお願い」 「い、1個目?!」  一体全体、何個目まであるの? そのお願いは!  悲鳴のような叫びをあげて永田を見ると、彼は悪戯っぽい笑みを浮かべながら言った。 「僕を題材に小説を書いてください」  両手を広げて、どうぞ! とばかりに宣言する。 「はっ?」  意味がわからない。  いや、意味はわかるけど。  そんな事して一体全体、あんたに何の得があるっていうの? 「だからー。地味でどうしょうもない先輩と、カッコよくて王子様な僕の恋愛小説を書いてください」 「はっ……?」 「年下のイケメンからこんなこと言われるなんて、まさに恋愛小説じゃないですか? あ、僕は断然カッコよく書いて下さいね。持てる限りの力をもって、最高のヒーローにしてください」  ちょ、ちょ、ちょ。  注文多すぎない? 注文の多い俺様読者様? てか自分をイケメンて、どんだけ自惚れてるの? その高い鼻っ柱折って差し上げましょうか。  って、いやいや、まず、相手は私なの?     
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