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5.夜と映画と夢の中
玄関で待たすようなマネはしなかった。
だって、そんなことしても無駄なくらいには散らかっていた。
玄関先に山積みの段ボール、ゴミ袋が積まれている。
「女の一人暮らし……」
永田はまたブツクサ言っている。
「さぁ、てきとーに座って。ビールあったかな。ツマミはなんでもいい?」
永田のためにソファから物をどかし、奥の部屋で手早く部屋着に着替えた。
戻ってくると、永田が落ち着かない様子でテーブルの上の物を退かしている。
うちはちょっと、そう、物が多い。
「片付けてる最中だからさ。ごめんね」
その言葉で、永田は理解してくれたようだ。
あーなるほどと頷きながら、積まれた段ボールを一瞥した。
「ゴミを追い出した後もまだゴミが出るんですね。勉強になります」
毒が強いよ永田くん……。しかも追い出したんじゃなくて、出て行っちゃったんだよ……。
とりあえず、私たちはビールで乾杯し、飲み始める。
永田はキョロキョロと部屋を見渡した。
男の痕跡を残しまくった段ボールまみれの部屋は、狭くて寂しく、招き入れたのが申し訳なくなる。
駅から少し離れた2LDKは築年数も古く、リフォームしてあるとはいえボロい。
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