0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「あれ……?」
誰もいないと思って覗いてみた学生寮の共有スペースである談話室から微かに聞こえてきた寝息の音に、琉はふと足を止めた。
「…………」
部屋の中をゆっくりと見回してみると確かに誰かが居る気配がする。ソファの影になって見えないが、間違いなくそこに誰かが寝ているようだ。
そういえばさっき最後にこの部屋の前を通った時にいたのは彼だった。ということは、今、そこで眠っているのも彼かもしれない。
そんなことを考えたとたん、ドキンと琉の胸の鼓動が大きく音を立てた。
慌てて胸を押さえ、琉はそっと息をひそめる。少しでも物音を立ててしまったら、微睡みを妨げることになってしまうかもしれないではないか。
ただ、それでも。
最初のコメントを投稿しよう!