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「瑞樹達は先に職員室だよね、気を付けてね」
「あぁ…大丈夫だ」
廊下を話しながら歩いていて、俺は玲音に安心させるように微笑んだ。
まだ玲音は不安そうな顔をしながら英次を見てるから英次はムッとしていた。
英次…抱きつくのはいつもの事だから何も言わないが、首に腕を回してるから暑苦しい。
その腕を飛鳥くんが引き剥がそうとしてるが、英次が意地になり余計に締まるからただ苦しかった。
まるで、いつもの平和な日常が戻ってきたんだと錯覚してしまう。
勘違いしてはいけない、これから俺は平和な生活は送れない。
常に命を狙われている事を意識しないといけない。
まだ周りには人間だとバレていなくても、なにがきっかけでバレるか分からない。
俺をこの学院に呼んだ人のように、俺が人間だと知っている人が何処にいるか分からない。
英次はただ意地張ってるだけだけど、ちゃんと気をつけられるのか?
いざとなったら俺より自分の命を優先してほしいが、英次…襲われた事忘れてないよな。
英次も魔法使いになったばかりで力は強くないと思う。
英次が傷付くのはもう見たくないから、本当に気を付けてくれ。
「お前に心配されなくても瑞樹に指一本触れさせねーよ!」
「…そう、良かった」
玲音が英次の腕を握ると英次は悲鳴を上げて俺から離れた。
なんか耳元でゴキッて聞こえたけど、気のせい…だよな。
寮の廊下で転がりながら悶絶している英次に不安になり英次に駆け寄ると玲音は楽しそうな声を出した。
玲音、笑ってる場合じゃない気がするぞ…英次が泣きながら騒いでいる。
心配しておろおろしてるのは俺だけで飛鳥くんも全く気にした様子はなく、冷静に英次を見ていた。
これも日常風景とか言わないよな、いつもこんな事してるのか?
「大丈夫だよ瑞樹、腕の関節外しただけだから」
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