第一話

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そこまでされて何故瑞樹はまだ生きているんだ、さっさといなくなればいいのに… 瑞樹は空っぽなんだ、親に何も与えられずに生きてきたから何もない筈なんだ。 なのに瑞樹は、人を惹きつける変なものがある。 弟の飛鳥もそうだし、クラスメイトの男も…瑞樹の変な力に惑わされる。 だからいつも俺は瑞樹から目を覚まさせてあげてるんだ、いかに瑞樹は悪い奴か教えるとすぐに瑞樹から離れていった。 瑞樹は人間じゃない、人を惑わす悪魔なんだと思っている。 ……瑞樹に騙されている奴らは馬鹿な奴らだ、瑞樹の本性を何も分かっていない。 あんな奴より俺の方がいいんだと教えてやるんだ。 そのためには母親を利用できるだけ利用している。 …母は俺の裏の顔なんて知らないだろう…知ってても俺のためならと利用する事を了承するだろうけど… 瑞樹を攻撃するなら両親からの方が効果がある。 追い詰めて追い詰めて、俺の世界から追い出してやるんだ。 俺は部屋のドアを開けて母親を部屋に招いた。 母親は絶対に一人で来る、俺がそうしてほしいと何も言わなくても分かるみたいだ……俺の性格は間違いなく、この母親の遺伝だと思う。 …俺がこうなったのは全部母親と瑞樹のせいだ。 俺は悪くない、俺の思い描く世界が一番正しいんだ。 「学ちゃん、どうしたの?」 「母さん、これ…見てよ」 俺はわざとらしく悲しそうな顔をして恐る恐る封筒を渡した。 母親はそれを見て目を見開き、眉を寄せ唇を震わせ怒りを露にした表情をしていた。
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