2013人が本棚に入れています
本棚に追加
本当にちょっと煽るだけで、こんなに思い通りになるなんて…笑いを堪えるのが大変だ。
猫かぶりは得意だから、仮面を被って眉を下げて同情を誘う。
同じ瑞樹嫌い同士だからなのか通じるものがあるのかもしれない。
それしても、受験すら受けていない瑞樹に何故この手紙が届いたのか。
俺なら分かる、俺は運も味方につけているから誰かか辞退した枠に入った可能性がある。
…だけど、俺より劣る奴が…こんな屈辱は初めてだった。
「何よこれ!!学ちゃんの方が優れているのに瑞樹なんかを合格させるなんて……瑞樹なんかにこの学校は勿体無いわ!!今すぐ断りの電話を入れて」
「……待って、母さん」
封筒を破きそうな勢いで感情的になる母親の腕を掴み悪どい笑みで止めた。
それに気付かない母親は俺が笑いかけたと思い同じく笑った。
さっき良いことを思い付いた、我ながらいい案だ。
俺が優れていると学院側に知らしめないと…
瑞樹はこの学院を受験していない、きっと俺と間違えたんだ…何故瑞樹の名前を知ってるのか分からないがそんな事どうでもいい。
俺が入学する高校はなかなか入れない偏差値が高い高校で自慢できるところじゃないと…
「…どうしたの?学ちゃん」
「せっかく合格したのに入学を取り止めたら向こうの学校も困るよ…だから瑞樹は辞退した事にして俺が代わりに行くよ、俺の学力なら問題ないよ」
「…学ちゃんが?そう…そうよね!瑞樹なんかより学ちゃんの方が相応しいわよね!いいわ、学院にそう電話しましょ!」
「いいよ、自分で電話するから…母さんはその後に保護者として電話してくれる?」
「分かったわ」
母親が俺にお願いされたからか嬉しそうな鼻歌混じりで俺の部屋を出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!