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俺は全て上手く行き嬉しさで一人で笑みを浮かべた。
母親に電話を任せたら余計な事を話しそうで、自分で話した方が相手を納得させられるからその方がいい。
母親は余計な事をしなくて、俺のアシストだけしてくれたらそれでいい。
母親に瑞樹と俺を間違えたんだと言うと「一緒にするなんて失礼だわ!」と言ってややこしい事になりそうだからそう言った。
瑞樹なんかに俺が劣る筈はないんだ、どんなに努力したって皆に愛されている俺に勝てるわけがない。
お前は薄暗い影を永遠に生きる醜いアヒルの子でいればいい。
母親がいなくなり、俺は自分で手紙に書いてあった電話番号をスマホで打ち学院に電話した。
プルプルと二回目の電子音が鳴り、渋い男の声がスマホ越しから聞こえた。
俺は出来るだけか弱い作り声で話す事にした。
やっぱりこういうのは第一印象が大切だ。
この場合、瑞樹を悪者にして辞退させなきゃならない。
参考にするのは、この前虐められている子供が出ていたドラマだ。
俺の演技力は誰にも見破れない自信があるんだ。
『…こちらクロス学院理事長ですが、どなたでしょうか?』
「実は俺の家に入学案内の用紙が届いたんです、宛名は森高瑞樹です」
『森高瑞樹?…すまないが、私の方では把握していない名前だが?』
「………え?」
この人は最初に理事長だと自分で名乗っていたよね、理事長が合格した生徒の名前を把握していないとはどういう事だろうか。
まさか本当に間違いで送られてきただけ?…いや、間違いならそもそも入試を受けていない瑞樹の名前で来るのはかなり可笑しな話だ、一度受験した者だったらまだしも…
飛鳥と勘違いしたというのもないだろう、飛鳥には既に入学案内書が来ているから今更合格発表の用紙なんて来ない。
じゃあ本当に俺と間違えて、手紙が送られてきたという事になる。
そう考えるとしっくりときた、全く…家族構成を見て打ち間違えるなんて迷惑だよ…よりにもよって瑞樹なんかと…
電話をした最初はさすがにちょっと説得に手こずるかと思っていた。
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