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でも、それなら話はスムーズに行く筈だ、俺の手紙なんだから…
考え事をしていてしばらく黙っていると、電話口で理事長の声が聞こえた。
『その用紙は何時届いたのかな?』
「今日です」
『……そうか、ならあの方が…』
なんかブツブツ独り言のような事を言っててよく分からなかったが、一人で勝手に理解したようだ。
やっと勘違いだって分かったのか?遅いんだよ、あんな出来損ないと間違えるなんて本当にいい迷惑。
よりにもよって俺と瑞樹の名前を間違えた事に対しての謝罪の言葉はないのかと、若干イライラしていたら理事長が『それで、その森高瑞樹くんがどうかしたのかな?』と何事もなかったかのように聞いてきた。
まだ間違いを認めないで俺と瑞樹を勘違いをしているのか、偏差値が高い学校でも理事長がバカだとどうしようもないなと心の中でこっそりと鼻で笑う。
電話越しだから向こうは俺の不機嫌な顔に当然気付いていないし、気付かせるヘマもしない。
気持ちを切り替えて、身体の奥底に怒りを潜めて声を震わせた。
これは分からせないといけないな、俺があんな奴より優れている事を…
「実は間違いなんです、本当は俺に送られる筈だったんです…なのに手違いで弟の瑞樹の名前が!」
『…し、しかしな…私が送ったわけじゃ…』
この理事長は立場が低いのか…肩透かしを食らった気分だ。
理事長よりも偉い責任者っていったい誰なんだろう。
ついついイライラして舌打ちしそうなのを我慢する。
まぁでも理事長なのは変わりなさそうだし、泣き演技をしながら同情を誘えば周りの愚かな大人のように騙せるだろう。
間違いを正す事くらい、無能な理事長にでも出来るだろう。
俺が入る事が出来なくても、瑞樹も間違って入れないように数々の悪口も添えて…
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