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この手紙は瑞樹宛ての手紙だ、なにかあるのか分からない。
念には念を押さないと、もしかしたら瑞樹も来るかもしれない。
瑞樹が嘘だと言ったところで、信じる奴はいないのは分かっている。
何処に居ても、瑞樹の居ていい場所なんてないんだ。
生半可な気持ちで、幼少期からずっとやっているわけではない。
まだまだ謙虚な悲劇の主人公になり切れていない。
このくらいは誰でもいる、俺は唯一無二の存在にならないといけない。
もっとだ、もっと同情を誘って命を掛けて俺を守りたいって思うほど盲目にならないと…
ずっとそうしてきたんだ、瑞樹という悪者を作って俺は可哀想な兄として生きてきた。
瑞樹の事が、殺したいほど嫌いだ…法律がなかったら真っ先に殺していた。
血が繋がっているだけでも嫌悪感を抱いている。
俺を慕う瑞樹を何度も蹴り上げても足りない、視界にすら入れたくない。
俺は瑞樹の持っていないものをたくさん持っている、なのに…何故こんなに衰えていると感じるんだ?
違う、そうじゃない…衰えているのは瑞樹だけなんだ。
飛鳥だってまだ気付いていないだけだ、俺が本物だと気付けば態度も変わる。
森高学という存在は可愛いだけじゃなく男心をくすぐるか弱い少年だと他人の中で出来上がっていく。
愛されるなら男の方がいい、俺を特別に可愛がってくれるから。
それと、心が単純なんだよ…笑っちゃうほどに…
泣きの演技をするとスマホの向こう側から理事長の心配したような声が聞こえた。
口元は笑みを浮かべていて、顔と感情が合っていない。
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