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俺なんかよりもその方がずっと、きっと楽しい。
そんな当たり前の事を考えているだけなのに、とても心が締め付けられて涙がポロポロと出てきた。
すると何を勘違いしたのか黒髪のカッコイイ少年は慌てていて、隣の銀色の少年の方を見ていた。
「迷子か!?どうすればいいんだ!!」
「…落ち着きなよ、まずは彼の話を聞こう」
落ち着いている銀髪の人形のように綺麗な少女は両手いっぱいに青い薔薇の花束を持っていた。
青く綺麗に染まった薔薇は、クールで大人っぽい少女にぴったりだと思った。
風になびく髪を耳に掛ける仕草はとても絵になる。
ニコッと笑いかける笑顔は俺にはもったいないと思った。
そして手に持つ薔薇を一本、俺に差し出してきた。
細くて繊細な綺麗な指に魅入られて釘付けになる。
スカイブルーの見た事がない色の美しい薔薇だ。
「はいこれ、僕の家で育てた薔薇だよ…君にぴったりだ」
俺の腕は自然と伸びていて、薔薇を受け取っていた。
この女の子…僕って言うのか、じゃあ男の子なの?女の子でも僕って言う子はいるけど…女の子みたいな顔だし、頭がよく分からなくなり考えるのを止めた。
男でも女でも、目の前にいる子の美しさは何も変わってはいない。
こんな綺麗な薔薇が、俺にぴったり?そんな訳ない。
だって俺は両親にも醜いアヒルの子と言われるほど汚い存在なんだ。
お世辞だろう事は分かってる、本気にしてはいけない。
お世辞すら言われた事はないから一瞬驚いたが冷静になる。
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